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私は事業を見直すことにした。以前、新聞記者時代に、地元の中小企業を集めて広報の勉強会を開いたことがあったが、人生の振り返りの中でその時の感覚が蘇ってきた。「新聞記者時代に馴染んだ『プレスリリース』という手段を通じて中小企業の活性化に役立てば、地域の発展にもつながるはず」。それは私が唯一自信を持って取り組めることだった。でもあれからもう15年以上の歳月が経つ。「本当にできるのか」、「需要はあるのか」、心配は尽きなかった。でもそこにこれまで取り組んできたIT関係のサービスも関連付けることができるかもしれない。そこで、私は同じようなことを事業にして発展していると聞いた東京の会社が開いているセミナーに参加することにした。

そこで話された内容は、どれも私に馴染みのあることだった。しかし、確かにそれを事業として組み立てたモデルにその会社の独自性は見られるものの、基本的に中小企業のニーズを取り込むには「雑」な感じがした。ニーズに対応しているようで、自分たちのビジネスモデルを押し付けているだけのように感じたのだ。それに提示されている価格自体も高い。例えば、東京・大田区や大阪・東大阪市などに集積する中小企業にとって、その会社の提案しているサービスが利用しやすいものだとは、お世辞にも言えない気がした。そして、そこに私が関われる余地があるように思った。「ここでならもう一度勝負ができるのではないか」。

まず私は、ホームページの内容を書き換え、プレスリリースの利用を全面に打ち出したものにした。むろんホームぺージは業者に頼んだので、また別途お金がかかった。フェイスブックの利用も始めた。もちろん、これまでしてきたIT関係のサービスもその流れの中に再び位置づけて、扱いを続けている。これで営業を再開した。その結果、これまで参加してきた異業種交流会でも、私のその変わりようが話題になった。「あそこでセミナーをしていたそうですね。それを是非私のところでも」といった誘いを受けるようになってきた。これまでにはなかったことだ。私自身もある程度自信を持って対応できるため、これまでとは雰囲気からして異なっているのかもしれない。実際にそのことを指摘されたこともある。

まだまだ、事業の成果はこれからだ。でも、その前にこれまで以上に仕事が面白くなってきた。これまで築いてきた人脈に大いに助けられている部分もある。ある顧客から要望いただいたプレスリリースの作成に当たり、私が以前に働いていた新聞社にも、私がしようとしていることが知れることが予想されたので、勇気はいったが一応挨拶をしておこうと思った。恐る恐る電話で連絡をしてみると、何とその新聞社のいくつかの部門の責任者が、私の後輩だった者がしていることが分かった。なつかしさと同時に、これまでに私のたどってきた変遷が改めてまた思い起こされた。振り返れば年月の経つことの速かったことと同時に、私がそれらの経験で何を得たのか、これからそれをどう活かしていけばいいのかを意識せざるを得なかった。

結局、その時の縁がもとで、私はその新聞社の仕事の手伝いもすることになった。もちろんそれは、私がやろうとしている事業に関係することでもあるし、もっと言えばその事業の展開にどうしても新聞社の協力が必要だったからだ。

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